不幸なスター・有名人 レコジャケ・厳選100人 OTAKARAファイル(花門号著、鹿砦社)は、不幸なスターのレコードジャケットを枚挙しています。今回はその中から、篠ひろ子さんの『霧雨の人』をご紹介します。芸能活動のスタートは歌手だったのです。
篠ひろ子さんは、伊集院静さんの喪中という意味では、たしかに「不幸」なのですが、本書はもちろんその意味ではなく、ご本人がかつて自殺未遂をしたため、その「不幸」を指しています。
篠ヒロコ(現・ひろ子)『霧雨の人』
篠ヒロコ(現・ひろ子)『霧雨の人』
【A面タイトル】霧雨の人
【B面タイトル】あのころ
【歌手名】篠ヒロコ
【作詞者】A面:小谷夏 B面:小谷夏
【作曲・編曲者】A面:三木たかし(編曲:三木たかし) B面:三木たかし(編曲:三木たかし)
【レコード会社】ビクターレコード
【リリース年月日】1974年
【ジャケット体裁】表カラータイトル&写真、裏モノクロ歌詞掲載
篠ひろ子(しのひろこ)さんは、1948年3月8日に宮城県仙台市で生まれました。
先日なくなった直木賞作家の伊集院静が夫でした。
兄にプロゴルファーの沼澤聖一、弟にゴルフクラブ設計家の沼澤雄二、甥にプロサッカー選手(徳島ヴォルティス所属)の青山隼がいます。
東北学院大学法学部2年生在学中に、ご本人もゴルフ練習場でスカウトされ、芸能界に進むことになりました。
1968年に東北放送テレビ「ホリデイ・イン・仙台」のアシスタントとして芸能界デビュー。
同年、『水色の風』で歌手デビューしました。
年明けリプレイスレコードさんで買った猫ジャケ!昭和のシャム猫。篠ひろ子さんって女優さんの前は歌手だったとのこと。 pic.twitter.com/tK4hoGmwD1
— こねむねこ (@nemuinekonemu) January 18, 2024
当時は篠ヒロコとカタカナ名でしたたが、1974年の9枚目のシングル『霧雨の人』のリリースを最後に芸名を「篠ひろ子」に変えました。
その後も4枚のシングルをリリースしたが、ヒット曲に恵まれず、そのまま芸能界から消えるのかと思っていたら、後述のようにTBSの『時間ですよ』という人気ドラマの第3部(第66回~第95回、1973年2月14日~1973年9月5日)で、飲み屋の女将役で出演。
ここで人気が出て、引き続き『寺内貫太郎一家』でも同じ役で出演します。
ところが、1975年3月20日に、自殺未遂を起こします。
自宅マンションから「これから自殺する」と友人の女性に電話を入れ、驚いて駆けつけた友人が、血まみれで倒れている篠を見つけて、一命を取り留めました。ブランデー瓶の3分の一、睡眠薬10錠を飲み、左手首を剃刀で切っていました。
理由は明らかにされていませんが、仕事に行き詰まったわけではない若い女性ですから、あとは異性問題……なんて想像はつきます。
半年後、昼メロドラマで復帰。その後、逆に陰のある女性という魅力が増し、女優として人気を得るようになったかもしれません。
お涼さんで大ブレイク
クゼメンコ 時間ですよ
篠ひろ子 お涼さん
小料理屋おかめの影のある
美人店主にブラウン管の前の
私は胸を熱く焦がしたものの
まさかの不治の病という宣告には
なすすべもありませんでした。
寺内貫太郎一家での再会は
由利徹の次に嬉しかった。 pic.twitter.com/954ReOT5GL— 佐野文二郎 (@zWlVyZPZ4IeMLEB) March 7, 2024
篠ひろ子さんの代表作には、「時間ですよ」、「寺内貫太郎一家」、「悪魔のようなあいつ」、「金曜日の妻たちへ」シリーズなどがあります。
『時間ですよ』は、東京・五反田の銭湯『松の湯』、森光子と船越英二の夫婦、息子は松山英太郎、その妻は最初は大空真弓、途中で松原智恵子に交代、従業員は堺正章と悠木千帆(樹木希林)プラス新人という設定です。
銭湯の脱衣室のシーンで、本当に客は脱ぐし、トリオ・ザ・セント(銭湯)と称して、従業員3人がギャグを発してドラマの中にバラエティ的要素を加えるなど、TBSとしては異色のドラマでした。
全11部にわたって制作されました。
第3部は、天地真理、浅田美代子、歌手として売れる前の研ナオコなど若い女性のレギュラーがふえましたが、そのうちの一人が篠ひろ子(当時は篠ヒロコ)でした。
紫の着物を来て、船越英二、由利徹、江戸家猫八らの常連客に笑顔でお酌をし、端の席では訳ありそうな男(藤竜也)が升酒を静かに飲んでいるというシーンだけの出演でしたが、天地真理や研ナオコなど、他の新顔出演者とともに気急上昇しました。
ただ、ドラマ自体は、最後に篠ヒロコ演じるお涼さんが病死し、そのシーズはいったん終了。
後に、とんねるずなどが出演した第5部以降は、別ストーリーです。
1983年からTBS系で始まったドラマ『金曜日の妻たちへ』シリーズで、タケ役を演じました。
1992年に作家の伊集院静と結婚し、故郷の仙台に戻ったため、そのまま芸能界は引退しました。
『時間ですよ』や『金曜日の妻たちへ』は、覚えておられますか。
以上、不幸なスター・有名人 レコジャケ・厳選100人 OTAKARAファイル(花門号著、鹿砦社)は、不幸なスターのレコードジャケットを枚挙、でした。
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