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大原麗子さんが、女性誌の記事に対する名誉棄損裁判に勝訴したことは、高額賠償金の前例を作った裁判になりました(2001年2月26日)

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大原麗子さんが、女性誌の記事に対する名誉棄損裁判に勝訴したことは、高額賠償金の前例を作った裁判になりました(2001年2月26日)

大原麗子さんが女性誌の記事に対する名誉棄損裁判に勝訴したことは、高額賠償金の前例を作った裁判になりました(2001年2月26日)。昨今の名誉毀損賠償金高額化のきっかけとなる裁判といわれているのが、「大原麗子ご近所裁判」です。

損害賠償額算定の流れを変えるエポックメーキングな裁判

近年、対メディアにおける名誉毀損訴訟の賠償金高額化のきっかけを作ったと言われているのが、『大原麗子ご近所トラブル』裁判です。

2001年2月26日の東京地裁が賠償命令判決です。

大原麗子 女性誌の記事による名誉毀損裁判に勝訴
東京地裁が賠償命令

女優大原麗子 (53)が「近所の住民とトラブルを起こしている」などと報じた週刊誌「女性自身」の記事で名誉を傷つけられたとして、発行元の光文社に5000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は29日、光文社に500万円の支払いを命じた。判決理由で難波孝一裁判長は「著名な女優といえども私生活の平穏は保護されるべきで、私生活を好奇心の対象とすることが許されてよいわけではない」と指摘。「記事には公益目的や真実と認める証拠もなく、大原さんが芸能界で築いたイメージを著しく傷つけた」と述べた。女性自身は昨年3月の合併号に「トラブル続出でご近所大パニック!」などの見出しで、大原の記事を掲載するなどした。(『日刊スポーツ』2001年2月27日付)

大原麗子さんが訴えたのは光文社。

同社発行の『女性自身』の記事、「何が起きた? 大原麗子(53)トラブル続出でご近所大パニック!」と大ゲンカ! あの女は『雪女』の声!」(2000年3月7・14日合併号)が許せなかったらしい。

記事の内容は、大原麗子さんの「近所の住人や商店主の声」として、「あの方が買い物に出ることはありません」「日に当たると溶けてしまう“雪女”なんじゃないか、なんて悪い冗談ったりしてるんですよ(笑)」などのコメントを掲載したもの。

ま、読む「井戸端会議」といったところですね。

こんな記事、本当であってもなくてもどうでもいいような気もするのですが、大原麗子さんは「名誉を傷つけられた」として、賠償金1000万円を請求。

2001年2月26日に東京地裁は名誉毀損を認め、「女優といえども私生活の平穏は保護されるべきで、好奇心の対象にすることが許されてよいわけではない」として、光文社に五00万円の支払いを命じたわけです。

今でこそ、著名人への賠償額として、500万円はそれほど高いとも思えませんが、それまでの名誉毀損の慰謝料の相場は、せいぜい100万円。

多くても200万円程度とされてきました。

しかも、だいたい判決では、その10分の1ぐらいですよね。

それがいきなり、500万円という高額判決に、当時の朝日新聞も「五百万円の認容は同種の名誉毀損訴訟では極めて高額」と報じています(『朝日新聞』2001年7月6日付)

光文社は、この判決を不服として控訴するも、2001年7月5日の控訴審判決で敗訴。

それどころか、鬼頭季郎裁判長は、「過去の訴訟に拘束されることが正義公平の理念にかなうとは言えない」として、「慰謝料額は10000万円を下回るものではない」と述べています(『朝日新聞』2001年7月6日付)。

つまり、過去の金額が低かったからといって、それに倣う必要はない、1000万円以上とっちゃれい! と言っているわけです。

ただし、これは大原麗子さん側からの控訴ではないため、控訴した出版社に不利益になるような変更はできないことから、一審判決と同じ500万円で賠償額が確定しています。

つまり、もしも大原麗子さんが、「私の名誉が500万なのっ!」と控訴していたら、光文社は2倍の1000万円という大金を払わねばならなかったかもしれないのです。

当該記事は、もし外部のライターや編プロに頼んでいたら、せいぜい原稿料数万円の記事。

それが、賠償金として500万、もしかしたらその倍以上、となったら、そりゃ、光文社も高くついたと思うでしょうね。

プライバシー侵害などの慰謝料が低すぎるという声を受けて……

鬼頭季郎裁判長裁判長の判決は、次のような考えに基づいています。

 鬼頭は、「人格権の経済的価値」という認識の浸透や、被害の広域化などが慰謝料額上昇の要因だと指摘する。悪質な記事などで著名人が名誉を傷つけられると、テレビの出演機会が減ったり、CDの売り上げが落ちたりする。イメージダウンによる経済的損害を慰謝料に反映させるという考え方だ。
 さらに、鬼頭は、高額の慰謝料を支払わせることで「違法行為の自制効果」も期待する。大原さんの判決では、女性週刊誌の発行部数が約七二万部で、一億円以上の売り上げがあると指摘した。これだけの利益があるのに、慰謝料額が安くては、「結局、書き得になってしまう」(『読売新聞』2001年9月9日付)

というわけです。

雑誌記事などによる名誉毀損、プライバシー侵害などの慰謝料が低すぎるのではないか、という声は、実はその前からも関係者の間で出始めていました。

1999年8月、自民党の「報道人等のあり方に関する検討会」は、報道による人権侵害に対する賠償額を「欧米諸外国に比べて極めて少額」として検討を求めています。

2001年9月の衆院法務委員会でも、「全体的に低すぎる印象で、救済手段として不十分と思う」という森山真弓法相の発言が残されています。(『朝日新聞』2001年9月8日付)

このほか、裁く側からも賠償金の見直しの必要性が指摘されるなど、1999年あたりから、損害賠償金の高額化の流れは出来つつありました。

「大原麗子ご近所トラブル」裁判は、こうした流れにうまく乗ったものといえるでしょう。

その後の名誉毀損裁判への影響

この判決のあと、巨人・清原和博選手が、『週刊ポスト』を相手取って提訴した名誉毀損訴訟では、一審で1000万円の支払いが命じられるなど、賠償が高騰。

これまでメディアに好き勝手なことを書かれた芸能人のために、大原麗子が底上げを狙ったわけではないでしょうが、事実上、高額賠償金の前例を作った裁判であったことは確かです。

大原麗子さんが亡くなってから上梓された、実弟の大原政光さんの書籍(大原麗子 炎のように)によれば、1999年に左目の二重まぶたの整形手術が失敗したり、ギラン・バレー症候群が再発したりして、芸能活動を休止しており、そのストレスが高じた時期だったことは明らかです。(ギラン・バレー症候群は再発しないという説もあり)

そして、女優仲間への長電話が増え、森光子さん、浅丘ルリ子さんなどは、そのときの大原麗子さんのふるまいが原因で距離を置くようになったことも話しています。

週刊誌が、きちんと取材をしたのかどうかは知りませんが、その真相にかかわらず、大原麗子さんが弱っている時に、かさにかかってあざ笑っているような記事と評価せざるを得ないものだったことで、大原麗子さんも捨て置けない怒りが湧いたのではないでしょうか。

余談ですが、私はこの頃、個人事務所のオフィスアールに移った大原麗子さんと、何度か年賀状のやり取りをしていました。

しかし、ある時、芸能人名鑑を見たら、オフィスアールの住所を載せていなかったので、連絡を取ってほしくないのかと思い、年賀状をやめてしまいました。

その後の、浅丘ルリ子さんの「お別れ会」でのお話を伺うと、私ごときでも、なにか働きかけていれば、大原麗子さんも多少なりとも気はまぎれたかな、と思いました。

大原麗子さんについては、石立鉄男ドラマのヒロインとしての実績が高く評価されています。

石立鉄男ホームコメディドラマシリーズは1971年~1978年に放送されたホームコメディ。ヒロインMVPは松尾嘉代?大原麗子?
石立鉄男ホームコメディドラマシリーズは、1971年~1978年にかけて、ユニオン映画が制作、日本テレビ系で放送されたドラマです。すべて独身男性を演じた石立鉄男の相手役としての女優が各作品に登場しますが、とくに印象深いのが松尾嘉代と大原麗子です。

いずれにしても、「少し愛して、長く愛して」の名キャッチコピーから40年。

エポックメーキングな判決を残したという功績で、メディアと名誉の値段を争う緒人に大原麗子は長~く感謝され続けることでしょう。

以上、大原麗子さんが、女性誌の記事に対する名誉棄損裁判に勝訴したことは、高額賠償金の前例を作った裁判になりました(2001年2月26日)、でした。

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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、曾祖叔父と“日本のケインズ”高橋是清の接点(仙台藩でワキジ時代のお世話役、そして姻戚関係か)を発見。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場からMMT支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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