兎の眼(灰谷健次郎、角川文庫)は、今日誕生日の檀ふみさんの主演で映画化された長編小説です。塵芥処理場を学区に抱える小学校に赴任した新卒教師が、発達障害や知的障害などの児童と向き合って、真の教育の意味を改めて問いかける力作です。
檀ふみさん(だんふみ、1954年6月5日~)は、日本の女優、司会者、エッセイストです。
今日は誕生日です。おめでとうございます。
檀ふみさんは、作家檀一雄の長女として生まれました。
高校時代、東映にスカウトされ、慶應義塾大学経済学部在学中から、映画やテレビドラマで活躍しています。
中村雅俊さんは4年先輩になるわけですね。
どちらも1浪で入られたそうなので、入れ違いだったわけです。
檀ふみさん
私とは歳がかけ離れているのですが、小学生の頃にドラマ(俺たちの祭?)を観ていた時に「背が高くて綺麗なお姉さんだなー??」って思ったりして… ませてたのか??
そして「凄く知的な雰囲気だな」とも。檀一雄先生の娘さんと知ったのは後のことでした。 pic.twitter.com/Vi1wUKne7L
— レーザード・バズソーでタマネギを切り刻んだら?? (@MF_DJ91U_Darjan) August 23, 2023
檀ふみさんは、『日本の面影』の小泉セツ役などで知名度が高く、『連想ゲーム』では紅組レギュラーの名解答者として15年間親しまれました。
また、父親の影響で料理や食事に関するエッセイも執筆しており、幅広い才能を発揮しています。
その彼女が主演した映画が、以前もご紹介した『兎の眼』(角川文庫)。
塵芥処理場を学区に抱える小学校に赴任した、新卒の教師・小谷芙美先生が、発達障害や知的障害などの児童と向き合って、真の教育の意味を改めて問いかける、灰谷健次郎による長編小説です。
発達障害児と向き合う女性教師の話
今 読んでいる本
灰谷健二郎 兎の眼高校生の頃 灰谷さんの作品をよく読んだ
大人になって 灰谷さんの作品を読むとまた 違った感覚になる pic.twitter.com/gcqgagzCk7
— ハマch (@490804Ikechin) July 28, 2020
灰谷健次郎さん(1934年10月31日~2006年11月23日)は、働きながら定時制高校商業科を卒業後、大阪学芸大学(現・大阪教育大学)学芸学部を卒業して小学校教師になりました。
しかし、在職中に発表した小説が差別小説と糾弾を受けたり、長兄が自殺したり、実母が亡くなったりと不幸が続くと、教職は17年で退職。
沖縄やアジア各地を放浪して充電した後、1974年に『兎の眼』で児童文壇にデビューしましたが、これが今風に言うとキャリアハイでミリオンセラーになりました。
タイトルは、大阪にある西大寺の善財童子像をさしていることが、本文を読むと出できます。
「西大寺の中興の祖とされる叡尊(えいそん)の13回忌にあたる1302年、貧しい人や病気の人の救済に生涯を捧げた叡尊をしのび、弟子たちが完成させたとされています。」(https://www.asahi.com/articles/ASKDV4GMKKDVPOMB007.html)
本作は、貧しい人や、障碍のある児童に向き合い、子どもたちの豊かな可能性を見出していく話です。
新卒、そして新婚で医師の娘である小谷芙美先生は、大阪にある空気の悪い塵芥処理場近くの小学校に赴任。
受け持った生徒には、一言も口をきかず、ハエを飼っている鉄三がいました。
感情を暴力行為で表現するので、当初は困惑していた小谷先生ですが、「教員ヤクザ」といわれる型破り教師の足立先生、そして学校の子どもたちとのふれ合いの中で、苦しみながらも鉄三と向き合おうと決意します。
本文中には一言もその言葉は使われていませんが、鉄三は典型的な発達障害。自閉症です。
自閉症の児童は、特定のことに熱中して意志も強く、ルーチンワークが得意ですが、鉄三のそれはハエの飼育で、小谷先生もそれに付き合って毎日鉄三の家に寄り、飼育具合を確認。
鉄三は先生に心を許し、言葉も発するようになります。
さらに、排泄なども支障がある重度知的障害の女の子・みな子が短期間ですが、クラスに入ってきます。
そのときは、先生も一緒になってクラスで話し合い、「みな子当番」を決めて、クラスみんなで理解と支援をします。
その一方で、自分の裁量でみな子を引き受けた小谷先生は、他の教員から“スタンドプレー”の批判を受け、(障害児教育は)みんなで情報を共有し合うことが大切であることを説かれます。
私は大阪人ではありませんが、1960~70年代前半の、大阪の場末感が実によく描かれていて、私も東京の場末だったので、子供の頃を思い出しました。
TV版は金沢碧、映画版は檀ふみ
残念ながら、私は映像化したものをまだ観たことがありません。
テレビドラマは、金沢碧が、映画は檀ふみが演じています。
"Good morning"
金沢碧
(the "eyes") pic.twitter.com/XZJMYhlL8r— Hello George (feel free to chat in English) (@ryochikun22) December 28, 2019
#檀ふみ さん いつも不機嫌で悲しそうに怯えていた #俺たちの祭 pic.twitter.com/TTPahReCUX
— 畠中由宇・相互フォロー100% (@hata_follow) July 30, 2020
どちらも、中村雅俊さんの代表作『俺たちの旅』で、カースケの相手役でしたね。
どちらもリアルで不幸せそうな表情が得意な役者なので興味深い。
金沢碧のほうが、より苦労させられるエグい設定で行けそうかな。
私にとっては、お二人共青春のヒロインです。
金沢碧版は、NHKの少年ドラマシリーズという枠で放送されていたので、映像データが残っていないといわれています。
檀ふみ版は、2005年にDVD化されています。こちらはぜひ鑑賞したいと思っています。
原作は、機会がありましたら、ぜひお読みください。
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