『男はつらいよ』シリーズと言えば国民的映画ですが、9月6日に東京・新宿ピカデリーで行われた50周年プロジェクト発表会で、50周年として来年8月に第50作として封切られると発表されました。現在は毎週BSが放送されています。寅さんがトレンドですね。
『男はつらいよ』の新作制作については、気持ちはわかります。
ひところ、全24作の喜劇駅前シリーズ(東京映画/東宝)を毎日のように続け様に、しかも1度鑑賞した作品でも何度も見ていたことがったのです。
そんなあるとき、DVDをつけると、黒い画面に「東宝」のロゴが出てきて、テーマ音楽が10秒ぐらいなるのですが、その間、黒い画面に、フランキー堺が尻餅をついてひっくり返ったり、森繁久彌が振り返って頼りない笑顔をしたり、伴淳三郎がブルブルっと顔を振ったりする光景が見える気がしました。
つまり、主演3人組が今も生きていて演じてくれるように見えるのです。
もちろんそれは「幽霊」です。
本当に画面に出てくるわけではありません。
それほど私が、喜劇駅前シリーズで頭がいっぱいになっていた、ということなんでしょう。
同様に、『男はつらいよ』の寅さんのDVDを見て、やはり画面に渥美清や倍賞千恵子などが出てくる人はいるんじゃないでしょうか。
ただ、どういうものを作りたいのか、もし寅さんの過去の映像を使うとなると、『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』ですでに行っていますから、また同じ手法だと、失望の声が出るかもしれません。
作り方が難しいですね。
BSテレ東にて『男はつらいよ』全話放送中
『男はつらいよ』が、BSジャパン改めBSテレビ東京、サービス名称『BSテレ東』で、毎週土曜日18時30分から、順に放送されています。
若大将シリーズと同じで、最初は3作の予定で、それが好評だったから次々作っていったというパターンですね。
ですから、最初の3作は密度が濃いですね。
『男はつらいよ』はテレビドラマが「原作」で、すでにその時点で観客は、さくらは博という人と結婚したことも知っているので、第1話は原作がすでに描いている設定に追いつかせることから、駆け足というか密度が濃い展開になっているのだとおもいます。
テレビ版の第1回と最終回と山田洋次・小林俊一対談が入ったDVDを持っているので見直してみました。
テレビ版と映画版の関係
『男はつらいよ』は小林俊一の演出による作品で、山田洋次は脚本のみ担当だったのですが、テレビの最終回で寅次郎を死なせてしまって文句が来たので、罪滅ぼしに映画を作ったという経緯なので、もともと山田洋次監督で長く続けるという意志があったかどうかはわかりません。
たぶんそこまでは考えていないかなとおもいます。
映画3話それぞれに目玉があって、第1話が博と父親の和解で、第2話で寅次郎の母親(ミヤコ蝶々)が出てきます。
3話目は山田洋次監督ではなくて「系列」の森崎東監督なので、作品のテイストがやはり少し違います。
倍賞美津子が森崎東監督でデビューしていますが、その時の相手の河原崎健三が出演しているので、出るとすれば第3話が出演のチャンスだったかもしれません。
第4話もテレビ版の演出をやっていた小林俊一が監督なので、たぶん山田洋次としては、ここで義理は果たしたと思ったかもしれません。
第4話については、地方ロケすらありませんでしたから、ここで一区切りという思いがあったかなとおもいます。
ただ会社から、人気があるからもっと続けてくれという話になって、5作目以降は自分が監督でイケるところまで行こうということになったのかもしれません。
山田洋次監督が言うには、「渥美清さんの目を通しての日本人や日本の社会について、もっと話を聞いておくべきだった」と後悔をしているのですが、考えてみると渥美清は自分で本は書いていないのです。
たぶん難しい人なので、ゴーストライターに代わりに書いてもらうなんてこともむずかしかったでしょうから、私もそれは聞いてみたいと思いました。
以上、『男はつらいよ』は50周年として来年8月第50作が封切られると発表され現在毎週BSテレビ東京で放送されるなどトレンド、でした。
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