成功する人は神社に行く、という説があります。東京のど真ん中にある近代的な企業にも神棚が飾ってあるところがありますね。神を信じたら成功できるのか。いずれにしても科学的に検証するのは不可能ですが、それを推奨する意見を確認してみました。
信じるものは救われる?
今年の初詣は行かれましたか。
初詣は、神社とお寺のうち、神社のほうが人気ランキングにより多くランクインしていることはご紹介しました。
では、どうして人は神社に参詣に行くのでしょうか。
初詣だけではありません。
お子さんが生まれた時のお宮参りもあるし、近代的なオフィスを構える企業でも、神棚を作っているところもあります。
家を建てたり修繕したり、プロ野球の糾弾がキャンプインしたりするときも、お祓いを受けることがあります。
日本国民のうち、神道を信仰する人はそんなに多いのでしょうか。
『成功している人は、なぜ神社に行くのか?』(八木龍平著、サンマーク出版)という、そのものズバリのタイトルの書籍をご紹介します。
タイトル通り、神社に行く習慣を持っている人ほど、人生成功しているという話です。
著者の八木龍平氏は、人気ブロガーの「リュウ博士」。
博士学位を取った科学者であり、さらに霊能力者だそうですが、Amazonによると「たちまち22万部突破! 話題のベストセラー」と紹介されています。
ご本人のポピュラリティもさることながら、神の存在というテーマ自体が、人々にとってそれほど関心の深いことなのだと思います。
八木龍平氏は、旧来の科学者でもいわれていた、神が最初の一撃を与えて自然や人間を作った、という立場には立っていません。
人間によって神は作れる、と述べています。
つまり、これまでイメージされてきた神によって人が支配されている、という神秘主義の立場ではないわけです。
しかし、述べていることはしょせん信仰の域を出ない非合理主義です。
たとえば、神社を焼き払った織田信長はお家が断絶。
参拝した麻生太郎氏は総理大臣になったという、「動機づけられた推論」のそしりは免れない意味付けを行っています。
動機づけられた推論というのは、はじめに得たい結論があり、その根拠として使えそうな情報を主観的に取捨選択し、さらに主観的に解釈する行為です。
要するに、著者は本書において、自分が“霊能者”という立場から、「神」とは何かを自らの主観で述べているだけです。
レビューでは、肯定派、否定派とも多数ありますが、まあそもそもが主観ですから否定のしようもないし、信じるのは全く自由です。
しかし、神仏を大事にしても不幸になる人はいる現実を考えれば、少なくとも客観的な内容とはいえないでしょう。
神とは内心の観念である
そもそも私は、特定の信仰はありません。
よく、人は不幸を経験すると、それまで行っていた神仏参詣をやめるという話はありますが、私は神仏がなにかしてくれるなんてあてにしていないので、そういうこともありません。
ただ、そんな私でも、神社仏閣に行って拝むことはあります。
もちろん、きちんと、宗派の流儀を守って。
「信仰がない奴が、特定の信仰の場で拝むのはおかしいじゃないか」と思われますか。
今回の結論になりますが、神社に行くことは信仰の有無ではないということです。
神様を信じていない人でも、こうなりたいとか、これなればいいな、と思うことはありますよね。
内心の願望です。
何を拝むかで、その内心を確認して、自らの努力や信念の道筋が明らかになるわけです。
手を合わせた時、どんなことを思いますか。
「今日はカツ丼を食べたい」なんてことでは拝まないでしょう。
家族の健康とか、商売繁盛とか、そういうことではないでしょうか。
『知っておきたい日本の神様』(武光誠著、角川学芸出版/角川書店)という書籍には、「神」や「神社」についてこう書かれています。
人間は神社に参拝して、願いごとを唱えることによって、その願望を実現するための努力をはじめるのである
参拝は、神様に何かをしてくれと頼むようでいて、実は自分の心にがんばりを誓っていると書かれているのです。
さらに、こうも書かれています。
神様とは、私たちがもっている能力を最大限に引き出してくれる存在である
神というのは、私たち各々の心の中に存在する観念であり、自身を信じる最大の拠り所だということです。
特定の信仰があろうがなかろうが、実は人間は、各々の心の中に存在する観念を拠り所にしているのではないか、それこそが「神様」ではないのか、というわけです。
なるほどなあと思いました。
少なくとも、織田信長と麻生太郎財務大臣を例に出した話よりも、よほど道理のある神論です。
つまり、「成功している人」は、自分が何を求めているか、そのために何をすればいいかを内心に確認している、ということでしょう。
成功するする人が神社に行くのは、その意味では真なる命題ということです。
以上、成功する人は神社に行くという説があるが、本当に神を信じたら成功できるのか、神はどこに宿っているのかを合理的に考える、でした。
知っておきたい日本の神様 (角川文庫ソフィア) – 武光 誠
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