りんごは健康にいい、1日1個のりんごを食べたら医者いらずでといわれることがある。しかし、みかんや柿でも同じことが言われる。

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リンゴは健康にいい、1日1個のりんごを食べたら医者いらずでといわれることがある。しかし、みかんや柿でも同じことが言われる。

りんごは健康にいい、1日1個のりんごを食べたら医者いらずでといわれることがある。しかし、みかんや柿でも同じことが言われる。本当だろうか。果物を食べれば「医者いらず」になるのならそれに超したことはないが、それはそれで問題もある。

果物健康法が流行したら、庶民では絶対に手に入らない、というような果物に健康効果を喧伝したら売れてしまう。

怪しげなサプリメントならともかく、食品としては決して悪くない果物を悪役にしかねない。

今回もスケプティクスに考えてみよう。

「1日1個のりんごは医者いらず」という言葉は、一般的な言い回しであり、りんごが健康に良いとされることを表現している。

しかし、いうまでもないがこれはあくまで一つの表現であり、すべての病気や健康問題を解決する万能の方法ではない。

りんごには、栄養素や食物繊維が豊富に含まれており、ビタミンやミネラル、抗酸化物質が含まれている。

これらの成分は健康維持や免疫力向上に役立つとされている。

また、りんごには食物繊維が豊富に含まれているため、腸の働きを促進し消化や便通の改善にも寄与することがある。

ただし、食事や健康には個人差がある。

りんごを食べることで健康に良い効果が得られる場合もあるが、すべての人に同じ効果があるわけではない。

健康にはバランスの取れた食事、適切な運動、十分な睡眠、ストレス管理などが重要だ。

また、特定の疾患や健康問題を抱えている場合は、医師や専門家の助言を受けることが重要なのはいうまでもない。

個々の状況や、健康状態に基づいた適切な食事や生活習慣のアドバイスを受けることで、より健康な生活を送ることができる。

ということを踏まえた上で、以下をお読みいただけると幸甚である。

1日1個のりんごは医者いらず、にエビデンスなし

さっそくだが、1日1個のりんごは医者いらずは学問的に真相はどうなのか。

『日刊ゲンダイ』(2015年6月12日付)の新企画連載「オモシロ医学論文」では、薬剤師の青島周一氏がそのテーマで書いている。

『日刊ゲンダイ』(2015年6月12日付)

『日刊ゲンダイ』(2015年6月12日付)

青島周一氏はまず、「1日1個のリンゴ、医者いらず」というイギリスの格言を紹介。

「もし本当ならリンゴを毎日食べれば医療費削減につながるかもしれ」ないという前振りで、米国医師会の内科専門誌2015年5月1日号の報告を紹介している。

それによると、18歳以上の8399人(平均47.2歳、女性50.9%)を対象に、リンゴを毎日149グラム(直径が7センチの小さなリンゴに相当)以上摂取している753人と、リンゴの摂取がない7646人を、横断的に調査。

自己申告で、過去1年間における医師への受診が1回以下の人(「医者いらず」の人)は毎日リンゴを摂取した人たちでは39.0%、リンゴの摂取がない人たちでは33.9%で、毎日リンゴを摂取した人たちの数字が上回った。

しかし、社会人口学的特性や、喫煙、BMI(肥満指数)など健康状態に関する特性で調整した結果は、両群には明確な差は見られなかったという。

つまり、「リンゴで医者いらず」という事実は示されなかったということである。

ただ、薬の処方については、リンゴを毎日食べていた人たちの方が少なかったという。

医者いらずというほど顕著ではないが、薬の使用などを減らす効果はあるかもしれない、ということだろうか。

青島周一氏は、「あえて格言にするなら」という断りを入れた上で、「『1日1個のリンゴ、薬剤師いらず』ということになるのでしょう」と結んでいる。

習慣としても「話半分」程度

このリンゴの医者いらず問題については、以前、やはり同紙に連載を持っていた医師、石原藤樹氏がブログで取り上げている。

リンゴは医者いらず、は本当か?

遺伝子検査・DNA検査のMYCODE(マイコード)

石原藤樹氏は、「おそらく、1日1個のリンゴを食する習慣が、健康に悪いとする論文は、1つも存在はしていないと思います」「それだけで著明な効果、ということも考え難いのですが、若干良いよ、というくらいのデータは、山のように存在しています」と肯定的に説明。

リンゴの健康効果として、「リンゴはコレステロールの吸収を低下させ、心血管疾患のリスクを下げ、体重を減らし、神経疾患や癌、気管支喘息も予防します」と書いている。

そして、青島周一氏と同じデータ(2013年のBritish Medical Journal誌に、コレステロール降下剤で動脈硬化性疾患を予防するスタチンと、その代わりにリンゴ1個を直接比較する論文)を紹介。

やはり同じような結論になっているが、「習慣として心掛けて悪くない」が、「こうしたものは、話半分で聞いて頂くのが良いように思います」と慎重にまとめている。

『食べ物とがん予防―健康情報をどう読むか』より

『食べ物とがん予防―健康情報をどう読むか』より

『食べ物とがん予防―健康情報をどう読むか』より

『食べ物とがん予防―健康情報をどう読むか』より

健康情報を信頼するフローチャートとしては、ステップ3ということである。

まあ、「習慣として心掛けて悪くない」ことであるし、リンゴが嫌いでなければ、スナック菓子や飲酒を控えてそちらにシフトするのはいいかもしれない。

以上、リンゴは健康にいい、1日1個のりんごを食べたら医者いらずでといわれることがある。しかし、みかんや柿でも同じことが言われる。でした。

この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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