美空ひばりさんといえば昭和の歌姫として金字塔を打ち立てました。しかし、意外な貯金通帳の残高エピソードも語られています。

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美空ひばりさんといえば昭和の歌姫として金字塔を打ち立てました。しかし、意外な貯金通帳の残高エピソードも語られています。

美空ひばりさんといえば昭和の歌姫として金字塔を打ち立てました。しかし、意外な貯金通帳の残高エピソードも語られています。それほどの大歌手であったにも関わらず、当座のお金に困ったときもあったという、にわかに信じがたい話です。

美空ひばりさんについて書きますが、以後はすべての人を敬称略とします。

美空ひばりは、戦時中に父の出征を壮行するために歌った『九段の母』が集まった人々を感動させ、母・加藤喜美枝が彼女の歌唱力から歌手としての才能を見いだしたといわれます。

8歳で初舞台を踏んで以来、40年以上に渡って歌い続けていますが、その芸能生活はトップスターとしての地位から落ちたことはなかったと私たちは考えます。

美空ひばりについては、『昭和ミニスカ歌謡大全』(文・石橋春海)の中で、美空ひばりがミニスカートになったことを紹介しています。

国民的歌手は、その時時のトレンドにも対応したというわけです。

ところが、そんな美空ひばりにも、東京・赤坂にあった伝説のナイトクラブ「ニューラテンクォーター」の社長だった山本信太郎によれば「どん底」はあったというのです。

芸能界と暴力団のつながりのスケープゴートに?

1973年、暴力団に入って実刑判決を受けた、実弟のかとう哲也(本名・加藤益夫)問題の引責で、美空ひばりは10年連続で紅組のトリを務めてきた紅白歌合戦への出場を辞退せざるを得ない状況に追い込まれたときがそうだったといいます。

当時、「歌姫」なのだから当然だった「紅白」出場がなぜか見合わされ、美空ひばりサイドでは「卒業」という言葉が使われました。

日本て、曖昧な言葉が好きですよね。

「落選」とは報じないんです。

「『世間はひばりのことを女王様のようにいい、さぞ裕福な暮らしをしているように思っていますが“お嬢”は苦労しているのよ……』  

といって、美空ひばりの母親・喜美枝が山本信太郎に貯金通帳を開いて見せたといいます。

何と、そこには400万円前後の残金しかありませんでした。

いや、私なら大金ですが、昭和の歌姫ですからね。

何があってもいいように、現金はもっとおいておいてもいいはずですが。

『子供が病気になった時に病院代にだけは困らないようにこれだけは残しているんですよ』」

その頃に静岡で行った美空ひばりコンサートは、悪天候も重なり200人も観客が集まらなかったという。

ああ、歌手も日建て商売で、お客さんが入らないと、とたんに実入りが悪くなるということですね。

芸能界とヤクザのつながりは美空ひばりだけではないし、そもそも美空ひばり自身が逮捕されたわけでもないのに、スターであることや実弟が実刑であったことなどから、すっかりマスコミの“的にかけられた”形になったわけです。

かばうわけではないですが、暴力団とのつながりなんて、当時は美空ひばりだけではなかったはずですが、まあスケープゴートなんでしょうね。

後の山口組若頭慰問のエピソード

美空ひばりは、山口組の若頭にのぼりつめた山本健一を慰問したというエピソードがあります。

美空ひばりといえば、あの山口組芸能部であり、後に企業舎弟となった神戸芸能社で育っています。

そのひばりにとって、ヤクザとの関係を否定するのはなかなか悩ましいものがあったのでしょう。

美空ひばりは、神戸芸能社の歌手であり、山口組田岡一雄組長は、ひばりプロの副社長ではなかったかと思います。

その昔、神戸で山口組と谷崎組との抗争があり、当時は田岡一雄組長の直若でもないのに相手の若頭を襲撃し、加古川刑務所に服役した山健こと後の後の山口組・山本健一若頭がいました。

田岡一雄組長は山健の労苦に報いるために、美空ひばりに慰問を依頼。

これまた田岡一雄組長に可愛がられ、神戸芸能社に義理があった美空ひばりは、刑務所を慰問して山健を名指しして激励。

「健ちゃん、身体に気をつけてつとめてきて」

山本健一若頭は意気に感じて、自分は日本一の子分になろうと決意。

それで田岡一雄組長の直若として盃を直し、田岡一雄組長のボディーガードになった。

義理と感謝が、三者を巡ったという有名なエピソードです。

暴力団への取り締まりが厳しい今だったら、作り話でもあり得ないエピソードでしょう。

美空ひばりは、今の「スター」たちのようにマスコミがこしらえた御輿に乗った“誰でも彼でもなれる”存在ではなく、ゼニカネの打算抜きで心意気で歌える真の歌姫だったのかもしれません。

お嬢さん社長

美空ひばり主演の映画『お嬢さん社長』(1954年、松竹)もご紹介しましょう。

祖父の代行で社長をつとめることになった美空ひばり。

しかし、社内の悪徳幹部たちは、たとえ16歳の“お嬢さん社長”であろうが容赦なく策略を巡らせ失脚させようとし、社長も堂々と受けて立ち戦うという話です。

昭和20年代の映画ですが、画質も音質もきれいで、ストレスなく観ることができました。

川島雄三監督作品です。

舞台は製菓会社(日本一乳菓)。ワンマン社長の小原重三郎(市川小太夫)は病気療養から、孫娘のマドカ(美空ひばり)に社長(代行)を任せます。

マドカは、舞台女優を遊びに連れ出して叱られた縁で、舞台監督秋山(佐田啓二)や、彼が住む浅草裏お稲荷横丁の住人たち、並木敬吾(大坂志郎)、秋山の恋人・菊子(小園蓉子)、桜川三八(桂小金治)らとも知り合います。

マドカは、敬吾(大坂志郎)の指摘で、会社製品のお菓子がパチンコ屋に横流しされていることを発見。

敬吾(大坂志郎)を社長付きで入社させ、会社刷新にのりだしました。

敬吾(大坂志郎)の企画で、会社の業績はぐんぐん上昇。

スポンサードする番組では、マドカ(美空ひばり)自身が出演して歌いました。

それに対して、悪徳幹部である安田専務(多々良純)や三戸宣伝課長(永井達郎)、それに追随する貝谷経理部長(有島一郎)らは、敬吾(大坂志郎)を悪質な詐欺師に取引させ、引責辞任させたうえで、日本一乳菓を競合会社に乗っ取らせようとします。

しかし、浅草裏お稲荷横丁の住人である幇間の桜川一八(坂本武)が、お座敷でその謀議を知ったために、マドカに教えて危機一髪、会社は救われます。

そして、一八(坂本武)は、実はマドカの母方の祖父だったことも明らかになります。

大作、名作というほどではありませんが、ストーリーもテンポよくまとまっていて、中だるみもなく完成度の高い作品であると思います。

DVD化されていますよ。いかがですか。

以上、美空ひばりさんといえば昭和の歌姫として金字塔を打ち立てました。しかし、意外な貯金通帳の残高エピソードも語られています。でした。

お嬢さん社長 [DVD] - 美空ひばり, 坂本武, 大坂志郎, 佐田啓二, 月丘夢路, 川島雄三, 美空ひばり
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真赤な太陽 - 美空ひばり
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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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