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若大将シリーズと言えば東宝が1961年~1971年まで製作した高度経済成長期の大学生の恋とスポーツを描く加山雄三主演作

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若大将シリーズと言えば東宝が1961年~1971年まで製作した高度経済成長期の大学生の恋とスポーツを描く加山雄三主演作

若大将シリーズと言えば、東宝が1961年~1971年まで製作した当時の東宝の屋台骨を支える人気シリーズ。主演は加山雄三。高度経済成長期の大学生の恋とスポーツを描き、マドンナは前半が星由里子演じるスミちゃん、後半が酒井和歌子演じるせっちゃんでした。

若大将シリーズとは何だ

加山雄三を売り出すために誕生した

17作にわたる若大将シリーズでしたが、もともと加山雄三を売り出すために3本作る予定だったと言われます。

そのため、3作目は、加山雄三が卒業にあたって就職試験を受けることになっています。

つまり、大学を卒業した若大将で3部作も終了という予定だったのでしょう。

しかし、3作が好評だったために、4作目以降は、3作の構成をベースにした、若大将一家と青大将以外は毎回出演者も設定もかわる1話完結で繋がりのない続編が、17作目まで作られたわけです。

ということで、第1作目から振り返ってみましょう。

基本的な設定とストーリー

加山雄三演じる田沼雄一は、通称“若大将”。

飯田蝶子を祖母、有島一郎を父、中真千子を妹に持つすき焼き店『田能久(たのきゅう)』の長男です。

前半は京南大学の大学生。1日5食食べます。1食は授業中、おかずはもちろん田能久のすき焼きです。

しかし、シリーズ途中で加山雄三は三十路になっていしまうので、後半の若大将は会社に就職します。

敵役の“青大将”田中邦衛は、会社をいくつも持っている父親の倅です。

ただし、毎回父親役の俳優や、父親の会社は違っています。

ヒロインは前半が星由里子演じるスミちゃん。若大将が就職する後半は酒井和歌子演じるセッちゃんです。

若大将は、頼まれたら嫌と言えない人のいいボンボンで、喧嘩も強く楽器もできるのだけれど、無謬万能というわけではなく、父親に迷惑ばかりかけて勘当も年中行事です。

それが原因で途中ピンチに陥るのですが、最後は必ずハッピーエンドです。

この「必ず」というのがポイントです。

具体的には、勘当が解かれ、大学の部活のスポーツ大会で勝ち、青大将にとられかけたスミちゃんやセッちゃんと仲直りすることになっています。

そして、観る者はホッとして映画館を出るのです。

これが若大将シリーズ(三部作)だ!

『大学の若大将』トイレ浄化槽のフタで焼肉大会

大学の若大将

『大学の若大将』(1961年)で田沼雄一(加山雄三)は、京南大学法学部政治学科在学中。

水泳部のエースで、1日5食の大食漢です。

授業中の早弁は当然ですが、田能久の常連である教授(左卜全)は、弁当のおかずである牛肉をひと口ふた口つまんで許してしまいます。

若大将は、自分のバンドを作るために月謝を使い込んだり、水泳部で部員慰労に、常得意の客先にだす霜降りを祖母・りき(飯田蝶子)からこっそり受け取ったりり、集金の金を使い込んだ妹(中真千子)の身代わりになったりしたため、父親(有島一郎)から勘当されます。

父親から勘当されるのも、若大将シリーズの定番です。

若大将の懐刀であるマネージャーは、2作目以降は江口といいますが、『大学の若大将』だけは多胡(江原達治)を名乗っています。

若大将から差し入れられた霜降り肉を鉄板焼きにするのに使う鉄板を物色。

トイレに入った時、浄化槽のフタを見て、それを使うことにします。

フタのない浄化槽に足を突っ込んだ管理人(沢村いき雄)が、においをつけたまま部室にやってきて、フタを見つけたことで部員にバレるシーンは、今もファンに語り草の名シーンです。

トイレに浄化槽の焼肉大会

悪気のない学生生活が、明るく楽しく描かれていることが、象徴的に示されていからです。

一方、マドンナのスミちゃん(星由里子)は、ものすごいヤキモチ焼きで激情家です。

若大将と、クラブで歌っている北川はるみ(北あけみ)との仲を誤解し、若大将にとって大切な水泳大会当日、青大将(田中邦衛)とドライブをしてしまいます。

誤解したからといって、すぐ別の男に走るすみちゃんというのも、なんともすごい人です。

でも毎回そういうパターンです。

ところが、青大将は不注意から、りきをハネてしまいます。

知らせを受け、大会会場から駆けつけて血を提供する若大将。

りきの意識が回復すると、また青大将の運転で大会会場に戻って泳いで優勝するという、スーパーマンの活躍でハッピーエンドです。

肉親の生血の輸血は医学的には禁忌ではないか、なんていうマジレスはしてはなりません(笑)

観客はハッピーエンドを望んでいるのですから、むずかしいことを考えてはならないのです。

『銀座の若大将』澄ちゃん嫉妬で若大将困惑

銀座の若大将

『銀座の若大将』(1962年、東宝)は、若大将の家であるすき焼き処『田能久』のある銀座が舞台です。

銀座を再現したセットは、今見ても資料的価値のあるものです。

今回の田沼雄一は、やはり京南大学法学部の学生ですが、今度は軽音楽部に所属する学生です。

新聞部の団野京子(団令子)と広告をとりに洋裁店に行ったとき、マドンナ・澄子(星由里子)と知り合います。

さらに、ファッションモデルのショーのバンドで演奏した時、モデルの北川きみ子(北あけみ)が声をかけてきます。

マドンナと恋の鞘当て役が揃います。

銀座のレストランで、若大将は拳闘部のマネージャー・江口(江原達治)が、ライバル校・城東大学の拳闘部員にカラまれていたところに出くわし、相手をノシたものの店をめちゃくちゃにしてしまいます。

若大将は、店を壊した責任と、店の娘の信子(藤山陽子)と結婚させようとする親たちの企みもあり、レストランで住み込みで働くことになります。

そして、『大学の若大将』の「トイレの浄化槽鉄板焼き」にならった食べ物ギャグは、レストランの残飯鍋を食べるシーンです。

若大将は夜、ギターを弾いて気分転換していますが、すぐとなりの洋装店の2階では、そこではたらくすみちゃんが弾き語りを聴いています。

すみちゃんが若大将の弾き語りを聴いています

銀座を舞台にした青春物語です。

ただし、例によってスミちゃんには誤解されたまま、若大将は拳闘部の助っ人として試合に出場。

誤解が解けて、「好きよ、好き好き」と叫ぶスミちゃんに若大将は元気を出して逆転勝ち、という絵に描いたハッピーエンドです。

『日本一の若大将』マラソン大会の最中に激白

日本一の若大将

『日本一の若大将』(1962年、東宝)では、若大将・田沼雄一(加山雄三)は京南大学4年生でマラソン部のキャプテンです。

マネージャー・江口(江原達怡)が実家からの仕送りを止められ、田能久でアルバイトをしなければならなくなりました。

江口は若大将の妹照子(中真千子)に首ったけで、後に結婚します。

マラソン部の後任マネージャーになったのが、青大将・石山新次郎(田中邦衛)です。

スミちゃん(星由里子)はメトロスポーツの店員。

カミナリ族に絡まれていたところを若大将が助けます。

青大将は、すみちゃんにいいところを見せようと、すみちゃんの店から400万円のボートを即買い。

実家が金持ちのため、青大将は頭金の200万円を家から持ちだしたために勘当。

このアオリを受けた若大将は、すみちゃんから相談され、祖母のおりき(飯田蝶子)が父・牛太郎(有島一郎)の口座から無断で金をおろし、それで残金を払ったため勘当されます。

スミちゃんはトラブルメーカーです。

しかも、例によって誤解から嫉妬。いったんは青大将に走ります。

しかし、誤解が解けると、マラソン大会の最中、走っている若大将に駆け寄り、「好きよ、好き好き」と激情家ぶりを発揮しますが、青大将はいい面の皮です。

好きよ、好き好き
マラソン大会でギャラリーから走っているランナーに近づくなんてあり得ない、とまじめに考えてはいけないところです。

でも、観客はハッピーエンドを期待しているので、これでいいのです。

若大将シリーズのまとめ

若大将シリーズは、難しいことは一切抜きで、よくもわるくも悪気を知らない若者が、若者らしい失敗をしながらも最後はハッピーエンドになるという、安心して観ていられ、すがすがしい気持ちになれるストーリーです。

このパターンが、それ以後14作続くのです。

高度経済成長の右肩上がりの時代に、明るく楽しく楽しめる、おおらかな東宝らしい青春コメディです。

以上、若大将シリーズと言えば東宝が1961年~1971年まで製作した高度経済成長期の大学生の恋とスポーツを描く加山雄三主演作、でした。

大学の若大将
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銀座の若大将 [レンタル落ち]
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日本一の若大将 [レンタル落ち]
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この記事を書いた者
草野直樹(かやのなおき)

自己肯定感も、自己意思決定能力も低かったのですが、昨今流行の家系図作りをしているうち、高祖叔父と“日本のケインズ”の接点を発見。仙台藩で和喜次時代のお世話役で姻戚関係も!?。もう30年早く知りたかったなあという思いはありますが、せめてこれからは一国民、一有権者の立場から、ケインズ系経済学支持者としての発言を自分の意志で行っていきます。

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