緑茶。地味ではあるが、私たちの生活には欠かせない飲み物である。接待用に、食後に、休憩や気分転換に、贈答にと用途は広い。それだけ親しまれている緑茶は、健康効果もしばしば取り沙汰される。では、本当に健康効果はあるのか。
あるなら具体的にどう効果があるのか。今回はそれについての記事をご紹介しよう。
タンニン成分には健康効果を期待できるという
「日刊ゲンダイ」(2009年4月6日付)で林輝明・中国長春中医薬大学名誉教授が、「病気を防ぐ身近な食材 お茶」というコラムを書いている。
ここでいう「お茶」とは、「緑茶(日本茶)」のことだ。
お茶のエビカテキンというタンニン質は、老化の原因となる血管を傷つけ動脈硬化を促進する活性酸素の働きを強く抑え、血中の過剰なコレステロールや中性脂肪を除いてくれます。その効力はビタミンEの50倍以上もあります。これまでもいわれてきた緑茶の効用である。
また、毛細血管を強化するビタミンP(ルネン、ケルセチン)を多く含み、脳出血などを再防。加えて約3・5%食まれるカフェインは、脳の血管を広げ、頭への血行を促進して栄養の補給をよくし、大脳を軽く興奮させて疲れをとって脳の老化も防いでくれます。さらに緑茶は美肌をつくるビタミンCの宝庫。新茶の煎茶100グラム中には、ミカンの約7倍の250ミリグラム、番茶でも約4倍の150ミリグラムを含みます。しかし、同じお茶でも半発酵茶のウ一口ン茶は8ミリグラム以下、紅茶は発酵で分解され全く含まれていません。
また、コラムでは緑茶でよく言われる利尿効果が、テオブロミンという成分に拠ることにも触れている。
そのタンニン成分には殺菌、消臭力があり、「番茶でうがいをすると、風邪の予防に役立」つと指摘し、「寿司屋で必ずお茶を出すのは、魚の生臭さを消すため」と教えてくれている。
血中のカテキンの濃度が高い状態で運動をすることで、より効率よく脂肪を燃焼させることができるとか、食後の血糖値の上昇を抑えるには、朝より夕方にカテキンを豊富に含む緑茶を飲むことが効果的だ、などともいわれる。
薬理的な効用を書いて薬事法違反にならないのか、と心配される向きもあるだろう。昨今、健康食品(サプリメント)については記述がかなりうるさくなってきている。が、工業的食品と違い、農産物についてはこうした表現はめずらしくない。
がん予防は引き続き調べる課題
さらに、緑茶については抗がん作用があるという考察をする論文もいくつか出ている。
緑茶にはカテキンと呼ばれるポリフェノールが含まれており、がん予防に効果があるとされている。
カテキンは強い抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を除去することで、がん細胞の発生や成長を抑制する働きがあると考えられている。
また、緑茶にはカフェインも含まれており、カフェインにもがん予防効果があるとされている。
ただし、緑茶ががん予防に有効であるかどうかについては、まだ研究が進んでいる段階であり、明確な結論が出ていない部分もある。
しかし、多くの研究で緑茶のカテキンががん予防に有効であることが示されており、積極的に摂取することで、健康に良い影響を与えることが期待されている。
なお、緑茶を摂取する場合は、過剰な摂取は健康に悪影響を与える可能性があるため、適量を守って摂取することが重要だ。
また、緑茶に含まれるカフェインには、過剰な摂取が神経刺激作用を引き起こすことがあるため、就寝前の摂取は避けることが望ましい。
もとより、健康に良さそうだからといって、絶対的に信仰してしまうのは、フードファディズムである。
フードファディズムというのは、食品の成分・栄養が健康や病気に与える影響を過大評価したり信じたりすることだ。
テレビ番組で、特定の食材が健康に良いとなると、翌日のスーパーではそれが売り切れるというのも、フードファディズムの一種と言えるだろう。
これらの流行はしばしば根拠が不十分であるため、健康被害を引き起こすことがある。
だから、緑茶にっいても、たくさん飲んでいればがんにならない、などと思い込まずに、引き続き慎重に研究を見守る必要があると思う。
そもそも、お茶が健康効果をもたらすとして、ではどの銘柄をどのくらいの濃度で飲んだとき、血中濃度はどうなるのか、ということを調べて、初めて「エビデンス」の前提となるのではないか。
ただ、何杯飲みましただけでは、データとしても厳格ではない。
いずれにしても、緑茶やカテキンは大量に摂取すればいいわけではない。
カテキンだけを抽出・精製して摂取すると、殺菌力のある科学物質になり人体にも有害といわれる。
カテキン摂取目的に緑茶として大量摂取しても、混在するカフェインの影響で頭痛、神経興奮作用、利尿作用、血圧上昇などが現れる可能性がある。
食べ物は、「毒」と「クスリ」が紙一重で存在し、作用する。効果を期待し、そればかり口にすると、その弊害が必ず生じる。
健康効果を喜びつつも、効果を狙った過剰な飲用は避け、純粋に緑茶のおいしさを楽しみたいものである。
健康によいとされる食材やサプリメントについては、『健康情報・本当の話』(楽工社)に詳しい。
以上、緑茶。地味ではあるが、私たちの生活には欠かせない飲み物である。接待用に、食後に、休憩や気分転換に、贈答にと用途は広い。でした。
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