エスカレーターの片側空け問題が議論になっています。右手しか使えない障碍者や駆け上がりの危険さが主張されても、急ぐ時便利だと言いはる人は譲りません。しかし、時代は片側を空けないという方向で決着が付きつつあります。大変なことが起こるからです。
「わけあって止まっています」キーホルダー
冒頭のポスターは、「みんなで手すりにつかまろう」キャンペーン、2017年夏版のポスターイメージ」です。
エスカレーターは急ぐ人のために片側を空けるべき、と主張する人がいますが、そんな都市部の暗黙の「マナー」を変えていこうという世の中の流れは確実にあります。
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まひやけがなど身体的な事情がある人が、エスカレーターで気兼ねなく安全に立ち止まれるようにとの心遣いから生まれたという。 pic.twitter.com/wYBFMrDvo4
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2019年7月2日
半身まひや、脊髄疾患などで片手が動かしにくかったり、つえが必要だったりなど身体に障害のある人が、エスカレーターで気兼ねなく安全に立ち止まれるようにとの心遣いから生まれたキーホルダーです。
東京都理学療法士協会のキーホルダーです。
「わけあって止まっています」と記載されています。
しかし、これでは、右側を駆け抜ける人に対して、「すみません、事情があるもので」とへりくだっているようなものです。
わけがない人は、止まっちゃいけないということではないでしょう。
本当は、右側を駆け抜ける人が問題なのです。
それでも、ネットでは「片側開けろ」という人があとをたちません。
そもそもエスカレーターは歩いてはいけない
その中には、「なんで障碍者のために片側を空けなければならないのだ」という昨今の“自分のことしか考えられない症候群”の現代人の考えが根底にあります。
しかし、それは根本的に間違っています。
もちろん、障碍者を思いやれないこともそうですが、それ以前に、エスカレーターは駆け抜けることはもちろん、そもそも歩いてはいけないのです。
片側を主張する人は、そこが抜け落ちています。
もちろん、冒頭に書いたように、障碍者にとって大変困ることでもあるのです。
2017年7月5日15時01分の『朝日新聞』では、『エスカレーター立ち止まる勇気を 都理学療法士協会訴え』というタイトルで、たとえば脊髄腫瘍の手術によって首から下にまひがある女性がは、エスカレーターでは右側に立った方が安定するのに、「迷惑をかけるから」と無理して左側に寄っていた話を紹介しています。
そこで、東京都理学療法士協会が、「気兼ねなく右側に止まって乗れる雰囲気を作ろう」と、「止まって乗りたい人もいる。立ち止まる勇気を広げよう」と訴えているのです。
「骨折されている方や障がい者はもちろん、半身麻痺や脳卒中、脊髄や頸椎の疾患、パーキンソン病の方など、半身が不自由なため、エスカレーターの右側に立ち止まって乗りたいという人がいることを知っていただくためです。東京では右側を空ける習慣がありますが、こうした方が右側に立っていると舌打ちされることもあります。そのため遠慮して不安定ながら左側に立ち、その横を人が歩くときに不安な思いをされています。」そもそも、片側を空けることが危険であると述べてもいます。
「危険防止の観点からです。エスカレーターを歩く行為は、人にぶつかったり、ステップを踏み外したり、荷物を落としてそれがほかの人に当たったりと、危険を伴います。そもそもエスカレーターは、歩くことを前提とした構造ではないので、わたしたちも交通事業者と協力してキャンペーンを行う以前から、「歩かないでください」という呼びかけをしています。 」さらに、輸送効率上も好ましくないと指摘しています。
「はい。安全面だけでなく、両側に立っていただくことで、エスカレーターの輸送効率も向上します。エスカレーターを歩けば、その人にとっては到達時間の短縮になりますが、エスカレーターに同時に乗れる人数は減ってしまうからです。たとえば、朝ラッシュ時の駅に到着した電車から降りてきた人を一気にさばくうえでは、両側に立っていただくほうが効率がよいのです。 」それでもまだ、片側を開けろという頑なな人たちのために、考えられたのがこれです。
さあ、これでも片側を駆け抜けられるか
JR東日本、東京駅の新幹線ホームでエスカレーターのリニューアルが一部終わったんですが、シングル仕様に替わってる。物理的に歩けないようにしたって事か… pic.twitter.com/YjFjkAsZ7k
— shunpei (@shunpei_tw) 2019年7月5日
JR東日本の新幹線東京駅ホームでは、エスカレーターのリニューアルが一部完了。
これはもう片側もへったくれもなくシングル仕様です。
正直、身体障害者やバギーの介添え人が横に並びにくいのですが、その方はエレベーターを使っていただくということで、少なくとも“右側を駆け抜ける人”はこれでいなくなるという算段です。
ところで、これ、本当ですかね。
うわっ、ローマの地下鉄駅でエスカレーターが制御不能になってものすごいことに。#おもしろ動画 #面白い #爆笑 pic.twitter.com/6B2CV4z0zH
— 面白いよ!動画 (@irenerober30) 2019年7月3日
実際にこういう場に遭遇したら大変なことです。
これを見た人は、定員いっぱいにのると危ないから片側のほうがいいんだ、という意見になってしまうかもしれませんね。
となると、ますますシングル仕様がベターということになるのでしょうか。
エスカレーター、片側空け問題のまとめ
エスカレーターの片側空けというのは、本来はいけないことなのに、勝手に作られた習慣です。
片側空けは、右側に手を携えたい身体障害者にとって困ることであるし、そもそも駆け上がりが論外あるだけでなく急いでいるからと歩くことも危険なので禁じられており、輸送効率上も好ましくありません。
それだも、片側明けをやめられないので、新幹線の東京駅ホームでは、とうとうシングル仕様のエスカレーターにリニューアルしました。
以上、エスカレーターの片側空けは障碍者や駆け上がりの危険さや輸送効率の悪さが言われても目が覚めない人たちがいる大問題、でした。
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